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★小説家。嘉兵衛は雅号。「嘉兵衛」で「かおるこ」と読む。
 
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ミッシェル・ポルナレフへの、日本における誤解、青学のタカギくん fm姫野カオルコ(姫野嘉兵衛)
日本でのミッシェル・ポルナレフほど不思議なミュージシャンはいない。
今日はポルナレフの、「とくにファンではない人」に向けて書く。「ファンではない」といっても嫌っている人という意味ではない。
「いたいた、なつかしー。そういう人いたいた。中学生(or小6、or高校)のころー! 今、どうしてるの? 生きてるの?」
という人に向けて書く。
ミッシェル・ポルナレフという名前を聞いて、⇧のようなリアクションをする人は、多いと思うからだ。

まず、ポルナレフは現在も過去も、活躍しつづけている。
最近も、子供のDNAが彼の息子ではなかったことで大きなニュースになった。

このニュースで問題になっていたことは、とっくに円満解決して(人工授精的養子であっても、彼に子供という存在を得てもらうことで、彼の生きがいにしてほしかった、とのこと)、目下は妻ダニエラさんと息子さんと仲むつまじく暮らしている。
そうしたことがニュースで話題になるくらい、「あの人は今」ではない。

だが、日本では、ミッシェル・ポルナレフほど不思議なミュージシャンはいない。
不思議だと言う理由は、
「知っている日本人が、1955年生まれ〜1962 年(くらい)に限定される」
からだ。(注・生年は、あくまでも、だいたい)

セルジュ・ゲンズブールにせよ、シルビー・バルタンにせよ、シャルル・アズナブールにせよ、アダモにせよ、イブ・モンタン、クレモンティーヌにせよ、すごく売れた人なら、人気のピークを過ぎたあとも、洋楽好きな人なら、「名前は知ってる」という人がたくさんいる。
「知っている世代がかぎられる」ようなミュージシャンというのは、「売れたわけじゃないミュージシャン」だ。

ベイ・シティ・ローラーズは一時的な人気のグループだったが、すごく売れたので、「名前は知っている、聞いたことがある」という人は若い人にも大勢いる。

だからミッシェル・ポルナレフは不思議だ。
彼は日本で「ものすごく売れた」のだ。
本当にもう、ものすごく売れたのだ。
彼のライブでは、彼に近づきたくて、昂奮したファンが二階から飛び下りて大怪我したほどで、芸能ニュースではなく、一般ニュースにもなったくらい、ものすごく売れた。

なのに、いま、知っている人が、限定された世代しかいない。
不思議だ。

そこで、私は考えた。
ミッシェル・ポルナレフは、売れているときから、「誤解されていた人」なのではないかと。
大学の同級生にタカギくんという人がいた(同級のクニエさんと結婚した)。

たまたま大学の西門の向かいの地下にある、なんとかいう店(ポテトグラタンとか水割りとかが出るような、当時、学生がよく行くような洋風の居酒屋)で、みんなで飲み会をしたとき、たまたまタカギくんの隣になり、きっかけは忘れたが、ポルナレフの名前が出た。
私が大学生のころだから1980年代である。そのとき、ポルナレフは(日本では)消えていた。
私「おかしいなあ、なんで彼は消えたかなあ」
タカギくん「きれいだからじゃないか。ビートルズみたいにいろんな曲がなくて、ただきれいなばっかりだからじゃないか。ヒラヒラした服きて」

そしてすぐに、場全体が別の話題でもりあがったので、このやりとりはこの一瞬で終わった。
私も、タカギくんとこんなやりとりをしたことを、長年、忘れていた。

タカギくんを思い出し、考えるのである。
日本における、ポルナレフの音楽へのイメージは、タカギくんの誤解が代表しているのではないかと。

「ビートルズみたいにいろんな曲がなくて、ただきれいなばっかり」とタカギくんは言った。

ポルナレフは本格的にクラシックの英才教育を受けた人なので、音楽技術の基礎が生半可なものではなく、むしろビートルズよりもっとバラエティに富んでいる。
だが、タカギくんが思ったように、ほとんどの日本人は、イメージしていたのではないか。

ポルナレフの曲といえば、女の子専用、と思っている日本人も多い。
でも、ポルナレフは人気絶頂だったときから、男性人気も高かった。
プリンスというミュージシャンがいるが、彼はなにも女の子専用の音楽じゃないだろう?
男性ファンも多いじゃないか。

なぜ、女の子専用、というイメージができてしまったか?
「愛」と「恋」と「悲しみの」せいじゃないでしょうか?

「愛の休日」「愛の願い」「哀しみのロマンス」などのように、邦題に「愛」「愛」「恋」「恋」「悲しい」「哀しみ」とつけまくったせいじゃないでしょうか。

有名な『愛の休日』は、べつに恋愛の歌じゃないんですよ。
でも、「愛の」と日本題名がついて、この歌をうたうときのポルナレフは高い声だったから、それで「女の子専用」と固まったのかもしれない。

ポルナレフを知らない人に、「どんな音楽?」と質問されたら、私はいつも『つけぼくろ』を紹介している。「ポルナレフの音楽の本領を、まずはじめに紹介するのに適している」と思うからです。
それに、彼の音楽の代表的な作品だと思う。
スタイリッシュで、小気味よくて、これこそ、日本人が思うフレンチでは?
では、youtubeでお聴きください。
つけぼくろ』(この邦題もグッド。原題は〃蠅〃だもん)

(注)2016年某日ブログ再アップ