姫野カオルコ周辺ブログ…運営&宣伝=KOGA工房

★小説家。嘉兵衛は雅号。「嘉兵衛」で「かおるこ」と読む。
 
ちょっと前のもの
 
大家、敷金を返してくれない、まとめ

敷金を返してくれない大家さんと、大家さんと交渉してくれない不動産屋に、アタってしまった。

弁護士さんにあいだに入ってもらった結果、「ハウスクリーニング代は原則的に大家が負担する。敷金は店子にもどさないといけない」という常識にもとずき、敷金を返してもらった。経緯は以下の通りです。似たようなトラブルが、多発しているとのことです。とくに「昭和30年代くらいから、お祖父さんの代から、ずーっとアパートやってた」っていう家の大家さんは、古い習慣のままなことが多く、トラブルが多発しているそうです。以下、参考にしていただければ幸いです。

では、経緯です(注・ただし値段や年月など、〃数字〃は、読んだ人がわかりやすいものに変える)

§§§§§§§§
神奈川県のコーポαに3カ月だけ住むことになりました。
・コーポαの家賃は10万円。
・敷金は2つ(=2か月分=20万円)
・敷金2のうち1は、退室時にも返さない
・ハウスクリーニング代5万円も払う
これが契約でした。

まず「ハウスクリーニング代5万円を払う」という項目について補足します。

近年の最高裁の判決で「ハウスクリーニング代は原則として大家の負担」となりましたが、「原則として」ですから、細かな契約はその物件ごとに違います。コーポαでは、どの店子にもハウスクリーニング代を支払わせる、という契約でした。
次に「敷金2のうち1は返さない」について補足します。
これは不動産屋ハウス×ムが、「短期貸しは大家がいやがるので、1は返さない、ということでどうですか」と大家のα夫人にもちかけ、α夫人が「それならいいです」とウンと言った、今回の私にかぎっての条件。

 

さて3カ月経ちました。コーポαを出ました。
店子の私には5万円もどるはずです。
内訳は、敷金2のうち1は返さない約束。残り敷金1(10万)からハウスクリーニング代(家賃の半分である5万)を引くと5万円です。
***
・α夫人は5万円を返してくれません。
・α夫人はさらに追加7万円払えと請求してきました。
請求理由は、
「クッションフロアのちょうど木目の模様の部分に2僖ズがついているので取り替えた。そこだけ取り替えることができずキッチン全室の取り替えになったので12万円かかった。
返すべき敷金5万円から超過した分は7万円。それを払って下さい」
というものです。
***
いくらなんでもな請求ではないでしょうか?
本来なら20万円返すところを、10万円でよいと私は呑んでいる。短期貸しだからと。さらにハウスクリーニング代5万も払った。既述のとおり近年に最高裁での判決から「ハウスクリーニング代は大家負担が原則」となっているものの、コーポαの契約ではハウスクリーニング代は店子持ちだとしていたから。

クッションフロアのキズは、2僂任后その小ささからして、キズがついた原因が、私にあるのか、引越し業者にあるのか、不明ながら、いずれにせよ故意にできたものではない。
つまりアクシデントです。
そういうアクシデントのために「敷金2のうち1はまるまるお渡しします」という、いわば保険をかけたのです。そして、そうしたこととは別に、ハウスクリーニング代も支払っている。
それでもなおかつ、クッションフロア取り替え代にかかった料金まで店子が支払わないとならないでしょうか?

せめて、
「その取り替え代金が予想外に高くついたから、残りの5万円も返さないのでOKしてくれ」
というのであれば、私も、おかしいと思うけれどがまんしたと思います。もめないですませる代金と思って。
しかし、
「残りも返さない」だけでなく「さらに7万円払え」というのは、いくらなんでも、おかしいと思う気持ちを抑えきれませんでした。 この気持ちは、もう、金額の問題ではない。
ものごとのスジとしておかしい! と思うのです。
土地を持っている人が、そこにアパートを建てて大家となり店子に部屋を貸す。大家は店子から賃料をとる権利があります。同時に、貸す部屋を、人から家賃をとれる状態にキープしておく義務もある。短期貸しのペナルティも店子からとり、ハウスクリーニング代も店子からとり、さらに追加料金も店子からとるというのは、いくらなんでも、権利と義務のバランスが不均衡すぎる。スジとしておかしい、と思ったのはこういうことです。

しかも、このコーポαは、室内の照明器具・ガスコンロ・エアコンは、すべて入居者が買ってとりつけるようになっていました。

 

不動産屋ハウスコ×に、おかしいのではないかと言いました。
でも、なにもしてくれない。
ほんとに何もしてくれない。
「いや……その……、だってここは自己管理物件で……」
もぞもぞ言うばかり。
そこで、弁護士に依頼をしました。
金額的には弁護士料のほうが高くつくので、金額的にはトクにはなりません。でも、スジとしておかしいのはガマンならなかった。
***
α夫人から弁護士経由でメールが届きました。
「住んでいた3カ月のとき、お出会いするたび、もっと長く住んでくださればよいのにと思っていたのですが、そう思ったのはまちがいだったのですね。1月2月3月と住んでらしたけど、2月には家賃を月末ではなく翌日の1日に振り込んだりして、だらしない人でした。そして、クッションフロア取り替え代の差額の7万円を支払わないだけでなく、敷金の残り5万円を払えなどという請求をされるなんて、なんて気持ちの悪い。たとえ3カ月の短いあいだとはいえ、そんな気持ちの悪い人と同じ屋根の下に暮らしたかと思うとゾッとします」
弁護士が、「これは感情的になっているので、じかに会ってお話したい」と思い、電話をすると留守電はフランス語で「ボンジュール、いま不在です(注・ここもフランス語)」と応答メッセージが。
つづく。 ***
α夫人は45歳。12歳と15歳の女の子の母。夫は在宅での仕事。α夫人は身長156僉B僚釘苅賢圈ヘアスタイルはロング。腰よりはちょい上くらいのロング。束ねずつねにロング。つねにスカートでハイヒールで飼っている犬はパピヨン。(年齢や身長の数字は「くらい」という意味です)「ボンジュール」とフランス語をつねに使う仕事をしている。
アパート経営を始めたのは祖父母の代から。アパートは、コーポα、コーポβ、コーポΘの3物件。
こうした背景と、弁護士へのメールから、私が思ったことはこうです。
「ああ、この人は、フランス語よりロシア語をやったほうがいいな。そしてゴーゴリを読むといいな」
です。
「アパート経営者という意識ではなく、地主の感覚で45年生きてきたのだろう」
です。
コーポα、β、Θは、大学の近くに建っています。その大学は日本で一番お金がかかるので有名な私立大学のひとつです。リッチ大学と仮称しましょう。
コーポαにいるときすれちがうのはみな大学生か大学院生といった住人でした。
リッチ大学の学生で、賃貸住宅に住むのは、首都圏生まれの人ではなく、地方出身者です。部屋代は地方在住のお父さんとお母さんが出しているのでしょう。出せない親の子はリッチ大学の寮や、大分県寮、岐阜県寮、青森県寮といったところに入りますから。
なので、α夫人所有のコーポに入って、出て行くとき、α夫人がいかなる要求をしてきても、それをそのまま、右から左に、地方の親に伝え、伝えられた親は「そうか、都会ではそんなものか」と思うというか、地方の親は一戸建てに住んでいるのが大半なので、「賃貸契約」というものに不慣れで、東京ではというより、「アパートに住むということはそういうことか」と思い、疑うこともなく、言われたとおりに、お金を払うのでしょう。
そうして、ずっと、問題が発生することなんかなかったのでしょう。この「ずっとそうだった」ことが、α夫人を、ゴーゴリの時代の地主の感覚にしたのでしょう。
だから、(弁護士を通しての)私の「おかしいのではないか」という問いかけは、
「ンマア!、なにをおっしゃっているざますの!」
という怒りになったのでしょう。
***
このあと、えんえんとモメました。弁護士さんもびっくりするくらい。弁護士さんとしてはカンタンにかたづくケースと思っていらしたようです。
というのは「敷金は返さないとならない、部屋の補修費は大家が負担が原則なのが、いまでは常識」なのですが、むしろ、店子のほうに、これを知らない人がけっこういて、それをいいことに大家が返さず、おかしいじゃないですかと言ってきた店子にだけ「あら、忘れてたワ」みたいなかんじで返すケースが、最近では多く発生しているのだそうです。私が依頼した弁護士さんも、これだろうと思われたようです。
ですが、α夫人の場合は、いったい何を請求されているのかが、根本的に理解できないのです。
彼女がもし、「なんとか敷金を返さないですませよう」といったような気持ちなら、弁護士にあんなメールはよこしません。だって、あのメール、弁護士に返す内容ですか?
「敷金とは、店子が、何らかの事情(会社をクビになるとか、交通事故で死ぬとか)で、家賃が払えなくなったときに備えて、先に大家に払っておくお金のこと。よって、家賃を問題なく払っていた店子が、部屋を出るときには、大家は、この敷金は全額、返さないとならない」という法的な説明をしている弁護士に、
「家賃の振込が1日遅れた。だらしがない人だと思っていた」とか「3カ月とはいえ同じ屋根の下で暮らしたかと思うとゾッとする」とか言い立てる自分が、自分でまったく見えないわけです。
なぜ見えないかというと、地主が小作農に、部屋を使わせて「あげている」という感覚しか45年間、持ったことがない人だからでしょう。
(ここで、蛇足ながらお断りしておきますが、1日遅れたのは、次に引っ越す先の都合があったからで、その事情も、あらかじめα夫人にちゃんと説明し了承を得ていたことです。)

コーポαの、私の入った部屋には、照明がありませんでした。店子がとりつけないとならない。エアコンもありませんでした。これも店子がとりつけないとならない。ガスコンロもありませんでした。これはよくあること(コンロは多くのアパートは店子各自がとりつけることになっている)ですが、小さいコンロはとりつけ不可で、2万円以上するバーンとしたコンロしかとりつけられないキッチン。ですから、3か月のあいだは、電子レンジ料理と、さいわいすぐ近くにコンビニもありましたので、それとリッチ大学の学食でまかないました。ですから、本当にキッチンは汚していません。浴室も、私は毎日ジムに行くので、95%をジムの風呂でまかないました。浴室もほとんど使わぬまま。TVもなく、エアコンもとりつけず、喫煙はせず、ほんとに部屋はきれいに使いました。
1階・北向き・道路に面しているため、24時間カーテンは閉めていないとならず、クローゼットにしまっていた洋服にカビがすごくついたため、けっこうな量の洋服は処分せざるを得なかった。でも、こうしたことは反論にはできません。
相手はあくまでも、「わたくしの、この立派なお部屋を、小作農に使わせてあげている」という感覚「しか」ないわけですから、言われても「わからない」ことだからです。
***
さてまあ、このへんでα夫人のことはおいて、この件で、私が一番ハラがたったのは、α夫人より、不動産屋ハウすコむです。
仲介手数料として家賃ぶん(10万円)とってるわけです。こういうことがあったら、もっと、ちゃんと大家と店子のあいだに入って冷静に事の収拾をつけてこそ、「仲介業」じゃないんですか?
弁護資料(5万円)は、不動産屋ハウすコむに請求したいくらいでした。じっさい、そうすることはできないかと相談したのですが、ハウスコ×の落ち度を客観的に証明することができないので無理とのこと。あきらめました。みなさん、アパートを借りるときは、くれぐれも、不動産屋さん選びは慎重に。


このたびのことは、ことが極めて単純な事項なので、最高裁の判決がどうのこうのを知らずとも、権利と義務の配分の常識をベースにすれば、常識にのっとっているほうが、裁判では勝てます。
私は裁判になることをかくごのうえで弁護士依頼をしました。裁判にかかる日数や手間や費用のほうが高くついても、この件はスジとしておかしいと納得できなかったからです。
でも、市役所や区役所でも無料相談にのってくれるはずです。これを「めんどう」と思う人が大半なので、α夫人のようなゴーゴリの時代の感覚の大家さんが、いまでも大勢棲息しているのでしょうね。
***
しかし、私もまた、α夫人のような「知らないゆえに」常識外れなことをしでかしていることがあるはずです。
東大文径瓦如◆嵜禿検廚琉嫐を「親愛なる」という意味だと思い、勝手に他人の封筒を開封していまう人もいますから。
他山の石としようと思ったコーポαの一件でした。
***
裁判になる直前に、α夫人のほうから、弁護士さんの口座に返すべきお金が振り込まれていました。
「それならそうと、電話の一本くらいしてほしかった。だまって振り込んでそのままとは失礼な人だ」
とは、弁護士さんの弁。たぶん、小作農にお金をもどすのが、α夫人はよほど悔しかったのでしょう。

オワリ(2017・4・27ブログ再アップ)