姫野カオルコ(嘉兵衛)のブログ…運営&宣伝=KOGA工房

★小説家。嘉兵衛は雅号。「嘉兵衛」で「かおるこ」と読む。
 
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高田ゆか、町本ゆう、fm姫野(注/ツイッター管理はKOGA工房)

月蝕歌劇団は「可愛い+怪しい=カワあや」でおもしろいですから、みなさん、ぜひ、初体験されてください。

今回は久しぶりに、高田ゆかさんが出ます。高田ゆかさんは「13歳の男の子を演じたら世界一」の人です。もしヴィスコンティが彼女を見たら大抜擢したにちがいない。「パノラマ島綺譚」では初の悪女役でしたが、22日からの「寺山修司過激なる疾走」ではまた少年役なのかな?(ごめん、このへんは公式ページでよく調べてください)。

「パノラマ島綺譚」の悪女役もよかったです。

私が高田ゆかちゃん(ここは、ファンとして〃ちゃん〃付けにしますが)に注目したのは「ドグラ・マグラ」のときです。あんな長い長い、ばかりでなく、ぐだりぐだりとした語り調の原作を、高取英がみごとに演劇作品に昇華(消化でもある)していて、演劇作品としても傑作だったのですが、この作品での高田ゆかちゃんは、当時、20歳くらいだったのかな、わりとステージに近い席で見たのですが、みごとな13歳の男の子だった。それも、リアル13歳の少年じゃないところが、いい。あくまでも舞台(演劇舞台)にいるフィクションとしての13歳の男の子でないと、意味がない。それは、宝塚歌劇が、リアルなおっさんだったら、見るほうが「イヤッ」なのと同じで、夢の中の13歳の男の子でないといけない。こういう男の子を、よく丸顔・やせ型・身長の低い・女の人が演じるんだが、おそろしく不出来なことが9割だ。なんでかというと、「少年どころか、百戦錬磨の色気達人女(百選錬磨ゆえに少年に化けている)」に見えることが9割だからだ。

しかし、高田ゆかちゃんは奇跡の少年だった。ほんとに。

作中、紙がバラバラバラと散るシーンがあった。「これは!」と絶望と驚きで散るシーンだったと思うが、その散るに至る叫びが、胸を切迫するほど打ってくる哀愁があり、「ああ、この人の、この少年の姿を、ガラス玉に、このまま永遠に保存しておきたい!」と、ひしと願ったほどである。それは「キャー、なんとかちゃん、ステキー」というファン心理とはちょっとちがう、もっと物質(希少のダイヤモンドなど)を後世のために保存せねばならぬといったような使命感にも似た心理で、そんな感情を抱かせるほど、高田ゆかちゃんには、独特のセンチメンタルが切迫する美しさがあるのである。

倉敷あみさん、新大久保鷹さん、は毎回、まかせておけば安心な演者ですが、今回の「パノラマ…」で目をひいたのは、令嬢役の淵上ひかるさんの美少女ぶり。そのお父さん役の男優は、見ていて何かを思い出しそうになるのですが、思い出しきれず、気になりました。

千代子役の中村ナツ子さんは、次回には、不条理コメディなどをすると魅力倍増なのではないかと。なんとなく、吾妻ひでおふうなコメディをすると、きょうれつなアッピールをするんじゃないかなと、そんな気がした。町本ゆうさんという新人(少年探偵団役)が、「パノラマ…」では大きなセリフはなかったのですが、ビジュアルがものすごくよかった。次回、本格的な少年役をするのを見てみたいものだ。

profile/ 姫野カオルコ =姫野嘉兵衛。作家。'58滋賀県生まれ。非大衆的な作風だが独特の筆致で男女問わぬ読者。『昭和の犬』で第150回直木賞受賞。同作品は幻冬舎文庫化。https://www.amazon.co.jp/dp/B019F74HUC/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1