姫野カオルコ(嘉兵衛)のブログ…運営&宣伝=KOGA工房

★小説家。嘉兵衛は雅号。「嘉兵衛」で「かおるこ」と読む。
 
ちょっと前のもの
 
高知市役所での思い出 tw姫野カオルコ(姫野嘉兵衛)

写真提供、高知に単身赴任中のでんこちゃんのご主人

高知市役所は建て直し工事中だそうです。この写真の、建物がなくなってるとこ。耐震設計にするそうだ。高知市役所には行ったことがある。私が20代のころだから昔で、桂浜にはサンヨウチュウがいたころだ…。

 

今みたいにネットでなんでも検索できる時代じゃなかった。旅行ガイドは「ザ・観光スポット」というところばかり紹介してある。坂本龍馬ゆかりのスポットはもちろん掲載されている。だが、20代の私が高知に行ったのは、岡田以蔵のことを調べたかったからだった。なにも出てない。

 

それで高知市役所に行って、「岡田以蔵にまつわるところがみたい、まつわるものが展示してあるところに行きたい」と言った。受け付けてくれた職員は(20代の男性)は「オカ…ダ…?オカ…なんでしたっけ? オカダ?…」と首をかしげる。

その男性の後ろに、彼と私のやりとりを耳にした女性職員がいた。私と男性職員が25歳くらいで、その女性は29歳くらい(当時)。

 

女性職員のしぐさが今でも目に浮かぶ。

両手を口に当て、眉をちょっとひそめ、「岡田ゆうたら、人斬りの…」と、かすれるような声で言い、ぶるぶるっと肩をすくませるようにした。

それがなんだか、江戸時代の娘さんの反応みたいで、高知に来た甲斐があったというものだった。

その江戸時代の娘さんふうの職員さんも、たぶん、もう退職なさっているだろう。

私を受け付けてくれた男性職員さんも、もうそろそろかというところだ。

 

それでどうなったかというと、20代の男性職員が、どっか別の部屋に行って、50代の男性を連れてもどってきた。「歴史ならわたしにまかせて」みたいなおじさん職員を連れてきたわけである。「岡田の資料はありません。土佐藩を追放された形になっちょるき」みたいなことを言った。そんなことはわかってるわけで、なにかないのかわざわざ高知に来たんだから、もうちょっとなにか手がかりを与えてほしかったが、ネットのない時代に、さらにどうつっこんだ質問をすればいいのか、晩年の沖田総司と同じくらいの年齢だった私もわからず、「そうですか…」とだけ、すごすご高知市役所をあとにした。

翌日、朝市みたいなのが出てるとこで、なにかくだものを買ったような気がする。

 

tw.by姫野カオルコ(姫野嘉兵衛)=。作家。独特の筆致で読者の男女比は同数(大手書店調べ)。非大衆的な作風ながら『昭和の犬』で第150階直木賞を受賞。ツイッター、ブログの運営はkoga工房なので、ツイッター宛に返信するとkoga工房に届くのみとなります。姫野への連絡は「公式サイトhttp://himenoshiki.com/→連絡方法」から

 

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