「キーハンター」だとか「アイフル大作戦」だとか、昭和のドラマに、外人役として、日本在住の外人が出てくることがよくあった。国際スパlだとか神父さんだとか貿易商だとかの役で、かたことの日本語をしゃべる、脇役として。
ケント・デリカットだとかオスマン・サンコンだとか、そのときどきで人気になった、いわゆる「外人タレント」のことではない。ドラマや、なにかの事件の再現ドラマや、学習ドラマ(語学学習的な)などで、脇役というかエキストラに近いことをしている人。
それだけでは生活できないから、本業があって、どこかに登録しておいて、趣味的に出ていたのだろうから、現在、ネット検索しても出てこない。
青山学院春木教授事件、栃木雑貨商殺し、クラブメッカ事件、オーミステイク事件、天国に結ぶ恋事件ならびにその墓掘り返し事件、もちろん復讐するは我にあり事件、などが、気になってしかたがない私は、boacスチュワーデス殺人事件も、すごく気になる。すごくすごく気になる。
それで、増村保造監督・新藤兼人脚本の、豪華キャストのTBSTVドラマを見た。これは現在、dvd化されているのである。松本清張の原作は、なんともいえず昭和30年代で、なんだかもうぶるぶるする。大映はじめ、1950から60年代の風景が出る映画(映像)もおもしろいが、文章で、それも小説でこの時代を読むと、映像(ビジュアル、視覚)が残す、当時とは、また一味違う、当時がよみがえるのである。これはみもの(よみもの)だ。
シェパード(犬種名)が、セパードと表記されていたり、映像とはちがって文章ならではの、当時の、「これがふつうだった感覚」が描写されていて、ミステリ(謎解き)より、そっちのほうに気を取られて、なかなか読了できない(いい意味で)。
それで、その一環?で、tbsドラマも見た。清張の原作は、上記のとおり、敗戦後すぐと昭和33年のころの風俗や、当時のサレジオ教派の謎めいた雰囲気や、ビリエ神父の怖さが、じとじととたたみかけるように綴られているのだが、これはTVの視聴率をとらないといけないノルマのもとにつくられているので、雰囲気もへったくれもない。そこがおかしくて、「幻の湖」にも匹敵する、おかしさで全編を見終わることができる。せっかちに編集して「雰囲気ぶっとばし」たことは、セリフをしゃべっているのに無言になっているいくつものシーンでうかがうことができる。
で。このTV版では、トルベック役を、ジョン・エクスティン、ビリエ神父役をケン・マクドナルドという、「外人」がやっている。いろんなキーワードで検索したが(綴りも推測して英語サイトでも)、出てこなかった。
この二人が、おかしいのである。とくにビリエ神父が、愉快痛快奇々怪々の怪物くんな愉快さで、途中から、この人の登場シーンを期待するようになるくらいだった。
大橋義輝・著「消えた神父を追え!」によると、問題の神父(実物)は、2014年でカナダで92歳にて存命していた(2018年現在はわからない)が、ケン・マクドナルドも同じくらいの年齢ではないか。いまはどうされているのだろう。