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★小説家。嘉兵衛は雅号。「嘉兵衛」で「かおるこ」と読む。
 
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Q)本を出した人へのプレゼントは何がいいですか? 回答-姫野カオルコ(姫野嘉兵衛)
Q)本を出した人へのプレゼントは何がいいですか?
回答者--姫野カオルコ(=姫野嘉兵衛) …【ひ】姫野カオルコ(ひめの・かおるこ)日本の小説家。独特の筆致で男女同数の読者層(大手書店調べ)。非大衆的な作風乍ら『昭和の犬』で第150回直木賞を受賞。

本を出した友人へのプレゼントは何にすべきか、という質問が掲示板「知恵袋」に出ていた。
質問者も回答者も、もっとも基本的なことをころっと忘れている。
もっとも基本=「出版へのプレゼント」である。
「誕生日祝い」「結婚祝い」ではない。
その人が「本を出した」ことへのお祝いなのだ。

同様の質問を2000年ごろ知人から受けたことがある。
「会社の元同僚が本を出しました。自費半分出版社半分の出版です。出版記念パーティに出席するにあたり、何かプレゼントをと思っています。元同僚の本は姫野さんの書くジャンルとは全くちがうものなのですが、本を出している人として、本を出した人へのプレゼントは何がよいかアドバイスをください」
同じ質問をしたい人がこのサイトを発見してくれることを祈る。
本を出している側からの回答です。
*****

本を出した人をAさんとします。
Aさんの著書を『A本』とします。自費出版、一般出版、出版の種類は問いません。

●まず前提として、
「お祝いしようと思ってくれたあなたの気持ち」を、Aさんは喜ばれます。はがき状のカードに「出版おめでとう」で十分だと思います。もしAさんが、会費式の出版パーティを開かれるのなら出席するだけで十分です。

●「でも、そこに何かプレゼントをつけたい」のであれば…。
ここでみなさん悩まれるのでしょうが、くりかえします。
出版記念パーティなのです。Aさんが「本を出した」。そのお祝いなのです。それを忘れないでください。

★Aさんへの最大最高のプレゼントは、著書『A本』を買うこと。

●「あたりまえだ」と思われるでしょうか?
とんでもない!
その著者の本を1冊も買わずに、その著者の出版記念パーティ(しかも無料の、会費式ではない)に出席する人が大半なんです!

★読まなくていいから、せめて1冊買って、出版記念パーティに出席してあげてください。

●「すでに1冊は買ったよ。それに加えてプレゼントをしたいんだ」というのであれば…。

★Aさんの『A本』をもう1冊買ってあげてください。
もうあと2冊、もうあと5冊、もうあと10冊、でもかまいません。
冊数は、あなたの、プレゼントに想定していたご予算でかまいません。

そして本屋さんに領収書を書いてもらいます。
たとえば2冊かったら、但し書きに、
【『A本』2冊分として】
と書いてもらいます。
そして、その領収書を、ちょっとこぎれいな封筒に入れて渡す。
これが、もっともよろこばれるプレゼントです。
(自費出版の場合は、本人から買ってあげてください)

●「お金の金額がわかるのはちょっと…」と思われますか?
それを心配されるのはわかります。
しかし、くりかえします。出版記念なんです。
本を出すのはたいへんなんです。
私など、いまでも、出してもらえると、ほんとうにうれしく、毎回出版記念パーティしたいくらいです。

●でも、出すのもたいへんだけど、もっとたいへんなのは?
「本を買ってもらうこと」!
なんです。

★世間の人は、本を買いません。
年収一千万あっても、本に100円出すのはイヤがります。
靴や服が2900円なら「わっ、お買い得」と思っても、本が3百円だと「高っ」と思います。
ましてや1800円も出さないとならないのなら失神しかねません。

ただし例外は、有名なタレントの書いた本、タレントやテレビ番組が話題にした本です。(※話がちょっと逸れますが、現在21世紀ですが、パソコンは実は普及していません。世の中の人の大半はテレビしか見ません。ラジオも聞きません。ひたすら世の中の人はテレビです。)
だから、テレビに出ていない人(ふつうの著者)がもっともよろこぶのは、「本を買ってもらう」ということです。
★読まなくてもよい。買ってあげてください。

●「なら1冊だけだと悪い」と思われますか?
そんなことありません!
さっき「×冊ぶんの領収書をプレゼントするとよい」と言いました。
Aさんはたぶん「×冊」の数字になんか注目しません。
金額にも注目しません。
(そりゃまあ、100冊買ったら注目するでしょうが、1冊買ってもらえば涙が出るほどうれしいのです)

●「よしわかった。でも、パーティのあと、家に『A本』が何冊もあっても困るなあ」と思われますか?
そういうときは、ブックオフに行かないでください。
ブックオフは同じ本を複数冊受け取ってくれません。盗難目的に本をごそっと盗んで売る輩がいるためです。
そもそも、プレゼントの気持ちで買ったわけです。なら『A本』をブックオフに売るのはみみっちい。

知り合いにあげるのもやめたほうがよい。
そんなことすると、こんどはそれを受け取った人は「義務感」みたいなものを感じます。
義務感は『A本』という本にも生じてしまいます。

ではどうするか?
図書館に持っていって「著者へのお祝いに複数買ったので図書館に寄贈したい」と相談してください。
各図書館で適切に取り扱ってくれるはずです。
おそらく「寄贈コーナー」に置かれます。
寄贈コーナーを通りかかった人は、気軽にふと持って帰りやすい。
そして読んでみて、以来、Aさんのファンになる人もいるかもしれないではないですか。Aさんへのなによりのプレゼントではないですか。

●「それでも、なにか〃モノ〃をAさんにプレゼントしたい」ですか?
もし、あなたの実家がみかん農家で、実家からみかんがたくさん送られてきたのなら、みかんを一袋プレゼントするのはよいと思います。もし、あなたがクイズに当たって、洗剤のアタック30本詰めをもらったとしましょう。その洗剤アタックの2つをプレゼントするのはよいと思います。
つまり、何かを無料で、あるいは格安で、たまたま手に入れた。それをプレゼントにするなら、Aさんも、ありがとうと思われましょう。

けれど、わざわざ何かを買ってAさんにプレゼントするのなら、Aさんは、
「わざわざお金を使ってくださるのなら、それだったら私の本を買うのに使っていただきたかったわ。。。」
と思われます。

●くりかえします。
本というものを、世の中の大半の人は、買わないのです。
わざわざ「出版記念パーティ」をされるような方は、出版にこぎつけるまでたいへんなご苦労があったのです。
一冊でも多く自分の本が世の中に出回りますように、と祈っておられるはずです。
出版された方へのお祝いは、その方の著書を買ってあげること。これより他にお祝いはありません。これに勝るお祝いはありません。
(2012・12・1ブログ再録)