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★小説家。嘉兵衛は雅号。「嘉兵衛」で「かおるこ」と読む。
 
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蕨市のA.A様(A.K様? H.A様? H.K様) 朝日新聞への寄稿にお手紙ありがとうございました 〜姫野カオルコ
埼玉県蕨市のA.A様(もしくはA.K様? H.A様? H.k様? とお読みするのでしょうか)
御朝日新聞日曜版「be」のリレー連載「作家の口福」へのお手紙をありがとうございました。
「いただく」についての回は、「このコーナー始まって以来のメールと電話と手紙です」と担当記者さんも驚かれるほどの反響でした。
翌週の「箸の持ち方」についての回にも、たくさん読者からの声が寄せられました。

その大半は、A様と同意見だったのですが、なかにお一人だけ、「『いただく』というのは食べ物に感謝するいいことばなのに、なぜ否定するのですか」という方がおられました。
「きっと、小学校高学年か中学生なのでしょう。まだ、日本語の文法の、尊敬語と謙譲語の差について教わっていないので、文意がまったく理解できなかったのでしょう」
と、編集部でも、彼女の誤読を、むしろ、ほほえましく受け取っていました。


2019年の夏に『何が「いただく」ぢゃ!』というエッセイ集をプレジデント社から出しました。
これには、A様が読んでくださったこのエッセイが収録されており、この回のタイトルを総タイトルとしたものです。
朝日新聞での反響が大きかったことと、プレジデント社内でも、このタイトルが「わかりやすい」と判断されたためです。

ところが!
出てみると、
『何が「いただく」ぢゃ!』
というタイトルを、
「いただきます、と食事前に言うのはおかしい」
「いただきます、と言うのはスカしていると怒っている人のエッセイ」
と受け取る人が、けっこうな数いることがわかり、驚愕しました……

「なんで、〃いただきます〃って言ってはいけないの? なんでそんなふうに斜に構えるの?」
と、直接の知人(58歳)からも質問され、
絶句しました……。


食べ物をありがたく「いただく」。その感謝の気持ちはをあらわすことばとしての「いただく」。
そのとおりです。
「わたくしはもう、夕飯をいただきました」もきれいなことばづかいです。
「お隣からこんなに柿をたくさんいただいたのよ」も。

だからこそ、

「今日は、お昼にひつまぶしを〃いただいてみた〃」
「あそこの角に出来たばかりのフレンチレストランで、ランチを〃いただいたことあるの?〃」
「向こうの部屋で記入用紙をいただいてきてください」

という用い方がおかしい、と私は言いたいのですが、まったくまったくまったくまったく通じないのです。


ことばづかいというものは難しい。
私など、ものすごく恥ずかしいまちがいを、日々おかしています。
ですから、他人がまちがわれると、「自分も教えてもらった」という気になります。
たとえば、なにかの大きな式典などで、
「今日、司会をすることになりましたアベです。わたしなどでは〃役不足〃で、いたらぬ点がありましょうが、どうか、お許しください」
などと挨拶される方がいらっしゃっても(〃力不足〃と言うべきところをまちがえられても)、

「私もやりそうだ。こんな大勢の人を前にしてステージでマイク持ってしゃべるなんて、アガってしまって、声もふるえてしまうもん…」
と思うのです。

言葉づかいがまちがっていること、まちがえたことに、「何が〜ぢゃ!」と抗議しているのではないのです。

なぜか「いただく」という語についてのみ、 大勢の人が、〃意気軒昂に誤用〃していることが気になるのです。


……と、A様のような方に〃檄を飛ばす〃タイトルだったはずが、まさか、ここまで、現代の日本人が「いただく」を誤用しているとは……。
これでは〃檄を飛ばす〃も、伝わらないかも……。

A様におかれましては、よいお年をお迎えください。
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