姫野カオルコ周辺ブログ…運営&宣伝=KOGA工房

★小説家。嘉兵衛は雅号。「嘉兵衛」で「かおるこ」と読む。
 
ちょっと前のもの
 
『麦秋』小津/編再生中ずーっと涙/かなしいから泣くのではない/アンチな感想を出している人にまでほほえんでしまい涙 by姫野 ) 続きはhttp://only5.himenoshiki.com/
小津安二郎の『麦秋』。
感想を日記に書いていたら原稿用紙30枚くらいになってしまった。

初めて見たのは、中3くらいだった。
NHK教育(第一かも)で、夕方放映されたように思う。祝日に特別に放映されたような。
まあ、テレビで、15歳前後に見たのが(ノーカットだったし、コマーシャルもなかった)はじめてだった。

そのときは、泣かなかった。もちろん。泣かなかったさ。15歳前後では。

そのあと28歳とかのころに、フィルムセンターかどうこかでもういちど見たように思う。
二回目のときは、原節子の、きらきら輝く大きな瞳に、ためいきをついてばかりいたような気がする。
この映画の背景となった時代のたたずまいとかに、ほーっとためいきをついたりした。

40歳くらいのころに、もういっかい見たときは、『晩春』と二本立てで、仕事で原稿を書くために見たので、「観察」という目で見ていた。

今は。
今は泣くよー。もう、全編泣くよー。オープニングで、木製の鳥籠見ただけで涙があふれてきた。

「あのころはよかった」という感情ではないのである。
だって、北鎌倉なんか住んだことないし、こんなご立派なインテリ家庭、架空のものの中でしか知らないし、だいたい、この時代にいくらとっしょりの私でも、まだ生れてないし。
なにも、「ああ、あのころはよかった」と泣くのではないのである。

もっともっとちがうところに、原因はあるのだ。
そこは長くなるのでブログでは割愛。

みなさん、どんなふうな感想かなと、ネットで検索してみたら、アンチな感想を言っている人がいた。
そのアンチな感想を言っている人が、選んでいるベスト映画が一位「タイタニック」、2位「ショーシャンクの空に」で、このアンチな感想まで、ほほえましい気持ちになる、「麦秋」であった。

〜姫野カオルコ(先日、橋本治さんを偲ぶ会でも、数人の方にまちがわれましたが、すみません、私は華やかな漫画家ではなく、地味な小説家です。。。)



プロフィール(小学館作成)
姫野カオルコ(ひめの・かおるこ)
作家。1958年滋賀県甲賀市生まれ。
『昭和の犬』で第150回直木賞を受賞。
『彼女は頭が悪いから』で第32回柴田錬三郎賞受賞。
『受難』『ツ、イ、ラ、ク』『終業式』『リアル・シンデレラ』『整形美女』など著書多数