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★小説家。嘉兵衛は雅号。「嘉兵衛」で「かおるこ」と読む。
 
ちょっと前のもの
 
小津安二郎、生れてはみたけれど、死ぬ前のたのしそうなすがた 続きはhttp://only5.himenoshiki.com/
『大人の見る絵本 生れてはみたけれど』小津安二郎 。
サイレントでも時代を超える佳作で、戦前の東京郊外(「郊外」というワードが一種の流行りワードだったころの)の風景が動画として残った資料としても貴重なものであるが、

何より胸塞がれるのは、画面で、いたずらをし、かけまわり、泣き、寝て、食べて、笑っている、子供たちの大半が、成人してすぐか、成人前に、死んだであろうことである。

昭和7年公開ということは、昭和6年くらいに撮影していた。昭和6年に9歳とか8歳とかである。その後の日本の戦況からして、まさに苦戦のときに招集された年齢である。それも最前線へ。

主要登場人物は生きていたとしても、遠景で、遊んでいる男の子たちの多くが、死んだであろう。特攻隊にいかされて成人前に死んだ子供もいたであろう。

主要子役は、当時の松竹蒲田で、名子役だったそうだが、戦後の消息がわからない人がいる。お兄さん役の子の消息が戦後は不明である。

子役としてならしたなら、復員後には、撮影所なり映画関係者を頼るとか、連絡をとろうとする(職探しのために)と思うし、職を得られなくても消息がわかるように思うのだけど、 わからないのは、おそらく戦死したのだろう。

「生れてはみたけれど」というタイトルは、公開時(制作時)には、別の意味だったのだろうが、今、この映画を見ると、別の意味で胸塞がれる。

〜姫野カオルコ
(小学館新書オクツケのプロフィールをコピペ=姫野カオルコ(ひめの・かおるこ)作家。1958年滋賀県甲賀市生まれ。『昭和の犬』で第150回直木賞を受賞。『彼女は頭が悪いから』で第32回柴田錬三郎賞受賞。
『受難』『ツ、イ、ラ、ク』『終業式』『リアル・シンデレラ』『整形美女』など著書多数。)